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「土人」発言の波紋

機動隊員の「土人」「シナ人」発言問題ですが、想像以上に波紋を呼びましたね。

沖縄県警本部長が謝罪し、本人たちは戒告の懲戒処分に。

戒告は懲戒処分の中では一番軽い処分です。ただ、証拠品を紛失したりしても懲戒処分にすらならない組織なので、そういう意味ではそれなりに重い処分と言えます。懲戒処分の下の厳重注意や本部長注意などの内部処分では履歴に残りませんが、懲戒処分は明確に経歴として残るので彼らの出世に大きく影響します。

ただ、ここに来て妙な流れになっていますね。

「基地に反対する活動家たちも暴言を吐いてるじゃないか!そっちは不問か!」という趣旨のご意見がちらほら出ているようです。

分かっていてそういうことを言っているのでしょうから、あえて説明するのもあほらしいですが、なぜマスコミが今回の暴言問題を大きく取り上げたか、を個人的見解で説明します。

地方公務員である大阪府警職員と、どんな経歴があれど基地に反対する一個人では立場がまったく違います。

地方公務員は、法律で信用失墜行為の禁止や全体への奉仕などが定められ、より高いレベルでの清廉潔白さが求められます。

また、そのなかでも警察は、警察法により不偏不党、公平中正などが求められています。

しかも逮捕権という絶大な権力を持つ組織であり、彼らの一挙手一足が注目されているといっても過言ではありません。非常に重要な職務であり、誇り高い仕事です。

だからこそ、彼らの懲戒処分は一定の基準で公表されることになっていますし、職員の不祥事でいちいちトップが頭を下げるのです(民間企業ではあり得ないレベルで)。

さらに、「土人」「シナ人」、特に「土人」という言葉のインパクトです。

20代の若者が一体この言葉をどこで覚えたのか知りませんが、差別的意味合いがあることは分かっていたはずです(本人は否定していますが)。分かっていたからこそ口論の中で発したのでしょうし。

沖縄県民は県外の人の目線に非常に敏感なように思います。それは、復帰が72年までずれ込んだ歴史や本土の捨て石とされた沖縄戦の歴史が背景にあることはいうまでもありません。裏返すように、沖縄の人は県外の人を「くされナイチャー(内地人)」などといって侮蔑することが少なくありません。どれだけ理解しようとしても「あんたはナイチャーだから…」と突き放されるつらさを味わったことのある人は多いはずです。

でも、やはり歴史的背景に沖縄県民が差別されてきた歴史は根深い物があります。今回の「大阪」府警と「差別」のつながりで、「人類館事件」を思い出した方も多いと思います。興味のある方は調べてみてください。

本土から送り込まれた機動隊が、沖縄の人に「土人」と発するのは、歴史的背景を踏まえたときに非常に重たい意味と衝撃があるのです。

そして非常にテクニカルな問題を言えば、全国メディアが取り上げた大きな理由の一つに沖縄県警の対応が早かったこともあるようです。

この問題は沖縄タイムスと琉球新報が暴言の翌日19日の朝刊で大きく掲載しています。これまでは一つ一つの機動隊の暴言や行為についてまともに対応していなかった県警も、これには迅速に対応。発言を認め、謝罪しました。各社の記事がネットに出た時間を見る限り、19日の午前中には対応しているようです。確たる証拠である動画がユーチューブで拡散されており、「逃げ切れない」と判断したことが大きいでしょう。暴言した隊員たちが見苦しい弁解をしていることからすれば、動画がなければ発言を認めなかったことは想像に難くありません。たとえば、「シナ人」じゃなく「ヒマ人」、なんて逃げ方もできなくはなかったのです。

なので、警察が認めて謝罪することは報道の決定的なファクトの一つになるのです。動画があったおかげで、おそらく警察が認めなくとも各社は記事にしたでしょうが、当局の認定を重視する某新聞社などはボツにした可能性もあります。テレビ局的には、とにかく動画に残っていたことが大きかったでしょう。

高江では、機動隊、抗議活動者の双方が法的疑念をもたれかねない行為に手を染めています。どちらがより問題かと言えば、そんなものは警察の方に決まっています。抗議活動者が違法行為をすれば警察が逮捕しますが、警察が違法行為をしても抗議活動者は逮捕できませんから。

もちろん、抗議活動者の暴言や暴力が社会的に認められるかといえばそれは分かりません。実際に、抗議する人の暴言や暴力の場面もあらゆる動画で撮影され、ネット上に出回っています。それを見て疑問に思う人が多ければ、辺野古や高江の抗議活動は社会の理解を得られず、結局は全国的なうねりを生むことはできないでしょう。正直、私も目を背けたくなるようなものもあります。どんな思いや背景があっても正当化され得ない活動は当然あるはずです。それは見る人が判断すればいいし、度が過ぎる脅迫や暴力には警察として正々堂々対峙すればいいことです。

ただ、ここまで機動隊の発言が取り上げられた以上、マスコミはある程度その背景にある機動隊と抗議活動者との衝突を報じていく必要はあると思います。今回は機動隊に全面的に非がありますが、その背景にある抗議活動者の行為を全て無条件に正当化することはできません。活動をしている人々も、正当化され得ないこともあると覚悟して反対しています。

高江に毎日記者を派遣できるほどのマンパワーがあるのは琉球新報と沖縄タイムスの2紙だけです。人も多いですし、なおかつ紙面の多くを高江問題で占めることに社としてのコンセンサスもあるでしょう。全国紙はせいぜい1カ月に数回がいいところでしょうか。私はネットで地元紙のニュースをフォローしているので分かりますが、全国紙が報じない問題が多く発生しています。

政府は12月中の北部訓練場の部分返還を目指すと言っています。となれば、この問題はこれからの1,2カ月がギリギリの勝負所です。多くの人に注目してほしいと思います。
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