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大震災の現場を見て

震災現場に入って1週間以上が経つ。しばらく、現場を離れることになった。

地震発生から、被災地に何度か足を運んだ。それでも、どこか震災があったということがリアルに感じられなかった。自分にとって、その町は津波に攫われて初めて訪れた町だった。

がれきが溢れる町。海岸から遙かに離れている場所でも漂う潮の臭い。地面は泥でべっとりとして、長靴でないとまともに歩くことが出来ない。慌てて調達し、少し大きい長靴が足を踏み上げるときに泥に引っ張られてしまう。それくらい粘っこい泥。自衛隊や消防隊が捜索活動をする横で、カラスが“何か”を感じ取って何羽も飛び回っている。

一方で、形を変えずに転がるサッカーボールや縫いぐるみ。少し高い位置に上がると、一転して長閑な住宅街が広がっている。津波が襲ってきたはずの海岸線も、カモメが飛び、水鳥が何羽も寄り添って穏やかな鳴き声を響かせている。もちろん、海岸から陸地の方に回れ右すると、木の上に船が引っ掛かっていたり、車が横転していたりする。

結局、自分はどれだけ考え、近くに行き、話を聞こうと「被災者」ではないことに気づかされる。現地に行けば「何者」かになれると思っている人は、みんな自分の無力さに気づかされる。

その町で暮らしてきた人でないと「町が消えた」ことのすさまじさを本当の意味で感じられない。津波に追われた人でないと、警報を聞いて慌てて高台を目指した人でないと、被災地に知人を持つ人でないと、当時あの場で災害に遭った人でないと…。自分たちにできるのは、被災者の方々の声や救助を続ける方々の声を届け、現実を伝え、被災地で必要なものを伝えることしかできない。自分たちが「無力」であるということを自覚した上で、しっかりと自分たちにできることを考えなければならない。自分たちは伝えている、世界に貢献している、時代を感じている、そんなことを言い出す輩がいるとしたら、言葉が出ない。

被災者は、情報を得られない。テレビもラジオも通じず、避難所に配られる地元紙か、被災者から伝わってくる噂話が情報を得る数少ない方法だ。もしくは、となりの避難所まで足を運び、その避難所の名簿を見て家族がいないか探す。

移動の車内でカーナビを見る。案内図では、次のコンビニを右に曲がれという。周辺には、商店や会社の名前も記されている。その地図を見て初めて、そこに町があったことに気づかされる。外を見ると町は瓦礫だらけなのに。

記者はみんな希望を届けたい、明るい話を届けたいと思っている。でも、最初の1週間は皆、安否確認ができず、唐突に生活を奪われてしまった衝撃で混乱している。明るい話がなかなか見つからない。「明るい話ないですか?」そんな聞き方をしている記者もいた(たぶん記者)が、自分には落ち込んで不安の中にいる人にそんな聞き方はできなかった。「明るい話ないですか?」という聞き方をしている記者を責めることもできない。もしかしたらその発言をきっかけに「明るい話」を聞き出して、世の中を少しでも明るくできるかもしれないのだ。

デマもかなり流れている。一時期フジテレビのアナウンサーがヘルメットをかぶって記念写真を撮影したものがネットで流れた。地震後に撮影された不謹慎なものとしてツイッターなどでもどんどん流された。でも、あれは今回撮影されたものではない。マスコミを叩く材料として、昔撮影した写真が利用された。ツイッターのRTは本当に手軽に情報を横流しできる。でも、こういう情報が錯綜するときだからこそ一次情報を確認してほしい。デマや不謹慎な話が被災者に伝わらないのは不幸中の幸いだ。

地震、津波から1週間が過ぎ、少しずつだけど希望が見えてきた。9日ぶりに救助されたり、孤立集落で生活していた人が発見されたり。安否不明だった知人や家族と再会する場面に何度も立ち会った。近くにいたのに、安否を確認できていないケースは多い。それだけ、情報が遮断されている。ネットの情報は届かないし、携帯電話など当然つながらない。新聞が置かれた場所に何人も集まって、目を凝らす人たち、掲示板に見入る人たち。

避難所の掲示板には、「動ける人は、動こう」という趣旨のメッセージが張られていた。混乱を乗り越え、現実を見据えた避難者が、協力して苦難を乗り越えようとしている。

彼らの「協力」を外にも広がるようにしたい。日本全国、世界まで広がるものに。少しでも、少しでも多くの命を救うためには、それが必要なことだと思う。現場から離れてしまったけれど、頭を働かせて自分にできることを考え続ける。必要以上の自粛はよくないけれど、開き直って不謹慎になるようなことだけは絶対に許されない。また訪れたときに、命に貢献できるように、考え続けたい。
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コメント

Re: No title

コメントありがとうございます。
マスコミ批判は、全うな批判もあれば根拠のないバッシングも多いですよね。
真摯に受け止めるものは受け止めて、自分の出来ることをやっていきましょう。
必死な姿は誰かに伝わり、何かが変わると思います。
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